タービンとは
タービン(エアタービン)とは、歯などを削る回転切削器具の一つです。 (キィ〜ンと歯を削る器具です)
回転切削器具には他にもエンジンというものがありますが、エンジンの回転数が最大10000回/分程度であるのに対し、エアタービンは40〜50万/分もの回転数があります。
そのため、エンジンよりもはるかに切削能力が高く、振動も少ないのが特徴です。
タービンの滅菌の必要性
染め出し液の入ったコップの中でエアータービンを空ぶかし、取り出してから外部をきれいに拭き取り、その後タービンを空ぶかしした時の状況です。この染め出し液はいったい何処から出てきたのでしょうか?。
この原因には以下の2つがあるとされています。
①エアータービンのスイッチを切って、急激に回転が止まることによリ、ハンドピース内が陰圧になるため、空気の排出口から唾液や血液などが内部に逆流する。
②エアータービン、マイクロモーター等のスイッチを切ったとき、水回路の給水が急に止まらず液たれを起こさないようバックサクション機能を持たせてある機種は、ハンドピース水回路が陰圧になるため、水の排出口から内部に唾液や血液などが逆流する。
最近ではメーカー側も逆流防止のための対応を取っているようです。
モリタ社とシロナ社の例を紹介します。
上がモリタ社の対策、下がシロナ社の対策例です。
シロナ社の逆流防止装置はOリングで行われているようです。
スイッチが入って水圧がかかるとOリングが膨らんで隙間から注水されスイッチが切れるとOリングが縮んで注水口が塞がり逆流を防止するといった、いたって簡単な原理のようです。
国産の治療用ユニットと比較して、格段に進んだ感染予防対策がとられているドイツのシロナ社のユニットでも同様の実験(染め出し液の中での空ぶかし)を行ってみました。
エアータービン、マイクロモーター、3wayシリンジとも僅かですが逆流が起きている可能性があります。
内部汚染対策にはハンドピース類の滅菌が欠かないことが分かります。
内部汚染を極力予防するには下記の注意を守ることが重要です。
①ハンドピース類はオートクレーブ滅菌する
②水没、上向きの状態で操作を終了しない
③逆流防止対策がとられているハンドピースを使用する
④口腔内、口腔外バキュームを有効に利用する
タービンの滅菌システム
(1) 洗浄
歯科では血液を伴う処置が少なくありません。
血液の付いた器具、それこそが第一の感染源です。
当院ではまず、スタッフの手で洗浄をするのではなく、ウォッシャーディスインフェクター(自動器具洗浄機)で血液、たんぱく質を洗浄、消毒します。
(2) 滅菌
通常のオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)とは違い、クラスBのオートクレーブは内腔構造の多い歯科器材(タービン等)をプレポストバキュームシステムによって内側まで確実に滅菌できる機械です。
基本セットはもちろんですが、タービン等もお一人毎に表面的な滅菌ではなく確実な滅菌ができます。ヨーロッパでは法律でその使用とデータ管理が義務づけられています。