歯ぎしりとは噛み合わせに見られる異常習癖のひとつです。
上下の歯を強く噛み合わせたり、擦り合わせたりすることにより、歯にヒビが入ったり異常に擦り減ったり顎や肩に痛みが出ることもあります。
一般的には、睡眠中に歯を擦り合わせることによって音が出ることを指しますが、専門的には昼夜を問わず意識的、または無意識的に起こるもので、「ブラキシズム」と呼ばれます。
種類
ブラキシズムは3種類に分類され、「グラインディング」と言って歯を擦り合わせギリギリと音を出す歯ぎしり、「クレンチング」と言って断続的に強く噛み合せるもの、「タッピング」と言って上下の歯の異常接触があります。
歯ぎしりの中でも最もたくさんの人にみられるのが「グラインディング」と呼ばれるものです。
これはギリギリと歯を擦り合わせる最も一般的で頻度の多い歯ぎしりで、周りの方に気づいてもらえることが多いです。
上下の歯を強く噛んだ状態で横に滑らせこすり合わせる動きをいい、最も歯にダメージを与える歯ぎしりです。歯の削れが大きく歯が擦り減って平らになるという特徴がみられます。
眠っているときに起こることが多いようですが、起きているときにしている人も少ながらずいるようです。ただし、実際には音のしない歯ぎしりをする人もいるため気づかない場合もあるようです。
クレンチングは、食いしばりとか咬みしめとも言われています。
上下の歯をぐっと強い力で噛みこむことで、グラインディングと違い横にこすり合わせることはありません。
日中、力仕事のときに食いしばるように、寝ているときも同じように力が入ってしまう(クレンチング)行為で、音が出ないために自分で自覚している方はほとんどいません。 よく見ると、クレンチングをしている人は頬の筋肉に力が入るため堅く膨らんで見えることがあります。
人は、1日の中で食事や話すことで上下の歯を咬み合わせるという行動は必然的に行っていますが、実際のところ上下の歯が咬み合っている時間は実質わずか5分から長くても20分程度といわれます。
普段無意識のときなどは上下の歯はくっついているわけではなく少し隙間があります。これを安静位空隙といいます。 クレンチングがある人は、この20分の時間が大幅に増えさらに強い力が加えられていることになります。
タッピングは、上下の歯をかちかちかちと噛み合わせるもので、比較的頻度の少ないタイプの歯ぎしりです。寒くて震えている時のような状態で、歯を小刻みにぶつけ(タッピング)小さな音を出します。
このような歯ぎしりは習慣性の反復的または持続的な異常な力が、歯を顎の骨に結合している歯周組織に直接伝えられるため、ときには歯根膜および歯槽骨に外傷を与えてそれらの組織を破壊することがあります。
この状態を咬合性外傷と呼びます。歯ぎしりの原因としては、咬合の不調和やストレスなどがあげられます。
影響
習慣的な歯ぎしり(食いしばり)により、歯の磨り減りによる象牙質や根が露出することにより知覚過敏の症状が出たり、異常な力がかかることによって歯にヒビが入ったりします。
セラミックの詰め物や被せ物を入れてる場合には無理な力がかかることによってかけたり割れたりすることもあります。また、歯周病を悪化させる因子でもあります。歯ぎしりにより顎の位置が下がると顎関節症や無呼吸症候群の原因にもなります。
治療法
歯ぎしりの治療法は原因により様々ですが、主な治療法としてはマウスピースがあります。
マウスピースとは歯科医院で歯の型を採り、自分の歯列にあったものをはめて、夜寝ている時や、昼間の無意識な歯ぎしりによる異常な負担から歯を守る予防方法です。
また、噛み合わせが悪く歯ぎしりが起こっている場合には、噛み合わせの調整を行うこともあります。