赤ちゃんは、生まれる前からお母さんのお腹の中で指しゃぶりをしています。
赤ちゃんには、生まれながらにして「吸啜反射」という本能があります。吸啜反射というのは、赤ちゃんが母乳やミルクを飲むために必要な本能で、口の周りに触れたものを無意識に何でも吸いつく様子のことを言います。
何も教えなくても、赤ちゃんが自らおっぱいを飲もうとするのは、この反射があるからです。生まれてから生後3ヶ月くらいまでの期間は吸啜反射が活発なので、口の周りに触れたものは何でも吸い付こうとします。
指しゃぶりを行うことで、口の中で指の感触を学び、指も濡れていることや吸い付く力の感触を学んでいくのです。指しゃぶりは、赤ちゃんにとって初めての学びでもあり遊びでもあるので、この時期の指しゃぶりは無理やり止めさせないようにしましょう。
どんな時に指しゃぶりをするかというと、一番多いのが眠いときの指しゃぶりです。赤ちゃんは、眠気を感じてくると自然と指しゃぶりをするようになります。あとはお腹が空いているというサインのときがあります。
乳歯が生えてくる時期に指しゃぶりをします。指を噛んだり、おもちゃを噛んだりすることがあるので、歯固めを与えてあげると落ち着くことが多いです。
指しゃぶりと歯並び
指しゃぶりをずっと続けると
上顎前突:上の前歯が前方にでる。
開咬:上下の前歯の間に隙間があく。
片側性交叉咬合:上下の奥歯が横にずれて中心がずれる。
などの噛み合わせの異常が起こります。
噛み合わせだけでなく発音をする時に、サ行、タ行、ナ行、ラ行などが舌足らずな発音となることがあります。
前歯が出っ歯になると、口唇を閉じることが難しくなりなり、いつも口を開けている癖がつきます。口呼吸になり歯肉炎になりやすなったり、口の中が乾燥し虫歯のリスクも高まります。
口呼吸になると感染症になりやすくなります。
口呼吸では、鼻呼吸ほど異物を取り除けず、温度や湿度も低くなります。通常であれば鼻呼吸をすることで、免疫が働きますが、鼻で排除されるべき異物まで喉に入ってくると、除去しきれなくなってしまいます。気道が細菌やウイルスに感染する危険性が高まり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
噛み合わせだけでなく、アレルギーや感染症への影響があるのがわかっています。
開咬(オープンバイト)の影響
開口(オープンバイト)は、奥歯を咬んだときに、前歯が咬めずに隙間があいてしまう歯並びです。前歯を閉じることができないので、食事や発音に影響を与えます。
奥歯は縦方向の噛む力には、強いのですが、横方向の噛む力には、比較的弱いという特性があります。
ですから、横方向に力が加わる左右の顎の動きのときには、根の長い丈夫な犬歯が噛み合って、奥歯に横方向の噛む力が強く伝わらないようにする犬歯誘導の状態になっていることが重要です。
犬歯には噛み合わせの力をコントロールする働きがあります。開咬にはその指令が脳に届かないので奥歯に大きな負担がかかります。
開咬の状態だと奥歯がすり減ってしまったり、噛み合わせの影響で知覚過敏になったり、歯や被せ物が割れてしまったりと影響がでます。子供の頃から予防していくのが重要です。