2022/07/26
今回は、自家歯牙移植という方法についてです。
どうしても抜かなければならなくなってしまった部分に歯を入れる方法としては、
①インプラント ②ブリッジ ③入れ歯が考えられますが、不要な親知らずがある場合などは、自家歯牙移植といって、親知らずを抜く歯の部位に移植する治療方法もあります。今回はそれについて説明します。
初診時 28歳女性
悪い親知らずが埋まっていましたが、海外勤務のため放置
本来であれば青線の所まで骨があったのですが、親知らずの悪影響で実際の骨はオレンジ線まで下がってしまっています。これではインプラントを入れる骨がありません。
また骨を作ることはできますが、水平に骨を作るのは比較的容易ですが、垂直にこれだけ骨を作るのは難易度が高いです。
そこで今回の治療計画は親知らずを移植するという治療を選択しました。
インプラントと自家歯牙移植はそれぞれに利点欠点がありますが、今回は移植を選択しました。
(※自家歯牙移植の適応症は45歳ぐらいまでと考えています)自分の歯の根の表面の歯根膜という細胞には骨を再生する能力がある点においてインプラントより優れているからです。)
移植直後のレントゲン写真です。
青い線が移植手術時の骨の高さです。オレンジ色の線は傷を保護するためのパックが写っています。
移植手術後1.5カ月。
まだ手前の歯と念のため固定しています。親知らずを抜いた時点で根の先から中に入っている神経や血管は切れているので、神経を取って薬を詰める治療は必要になります。
術後6カ月後のレントゲンと口腔内写真です。
骨がオレンジ色の線まで再生しています。現在も定期的なメンテナンスにいらしていただいていますが、術後7年経過していますが、きわめて安定していてとても良好な経過です。